現在、アレッポのほとんどの小・中学校は機能していないという。この危険な治安状況の中、親は子供を学校に送る事ができず、または授業ができる状況ではないことの他、学校自体が破壊されてしまっている場合もある。
しかし、このような状況の中で、学校を作ろうと動いているグループもある。
カッラーセ、あるいはブスターン・アル=カスルはアレッポでは貧しい層の人々が住む地区であるが、紛争以降、さらに状況は厳しくなっている。度重なる戦闘は、シリア中で家をなくし、家族をなくし、収入のすべを失った人々を生んでいるが、この地区のような極めて貧しい地区の人々は、国外に出るにも頼るべきものがない。また多くの人が、死ぬのであれば自分の住んでいた土地で死にたい、と地区から出ない決意をしている。
学校作りを始めたグループは、この地区を紛争当初から支援し続けている若者たちで、緊急支援物資を国外居住のシリア人有志から集め、ここに残った人々を支えて来ているが、この数ヶ月のあいだこのような状況であっても子供の教育をないがしろにしてはならない、と学校をつくりはじめたのである。
しかし、「地上」に作ると、攻撃にさらされる可能性があるということで、地下のいわゆるシェルターに教室を用意しているという。教師は、もと一般学校の教師の内の有志を募り、教材、テキストを今収集中のようだ。生徒は180人ほどで、新年の開校を目指している。
このグループの一員の若者Bは言う。「僕たちの支援グループの何人かは、支援活動の最中に狙撃をされて亡くなった。そのうちの一人、Mはこの国の将来を考えるたびに、学校機能が麻痺している事を非常に憂いていた。こんな状態だからこそ、子供たちはちゃんと教育されなければ、と僕たちは彼の意志を引き継ぐことにしたんだ。」
「何もないし、先生たちだって、ある程度の給料を払わないと、彼らの生活も危うい。だけど、やらないといけない。そう信じている。」とBは続ける。
シリア人の挑戦は、戦闘だけではない。彼らはこのどん底で将来に挑戦し実践している。