この数日間のシリア人の間での最大の懸念事項は、G8でも、アメリカの武器供与でも、ヘズボラの参戦でもない。
シリアポンドの異常な値下がりである。
シリアポンドは、騒乱の始まり頃、すなわち2011年の春の段階で、1ドル=46〜47ポンドだった。昨年の2月、シリアに帰ったとき、1ドルは66〜67ポンドと格段に値下がりしていたため、びっくりしたが、これは単なる前奏曲に過ぎなかった。
今年の年明けごろ、1ドルが100ポンドになったと聞いてたまげたのを覚えているが、それ以来、さらに下がり続けていた。先月トルコに言った際に確かめた時は150ポンド前後、それが、つい一週間ほどまえ、160ポンドになった。
そして昨日(6月17日)、ついに1ドルが200ポンドになったといい、一部の噂では週末までには300ポンドにまで下がるだろうとの予測も出ているという。
それに伴う生活必需品の値上がり。特に食料の値段はじりじり値上がりしており、なんとか上げ止まっていた野菜などまでが、今また急騰しつつある。知らせてもらった値段を見てみると、改めて全ての食料で2年前の4−5倍で、さらに上がる気配をみせていると言う。
1ドルが200ポンドになったというシリア人の友人のFBへの投稿を読んで、これから予測通りに、加速的にシリア・ポンドの価値が下落したらどうなるのだろう、と思っていた矢先、夜中に娘の友人でホムスに住むSからメッセージが飛び込んで来た。
「緊急に支援が出来ませんか。今日のシリアポンドの急落だけではなく、週末までにさらに急落するという噂もあり、ラマダン月用の食料を、私たちの支援している貧しい人たちに今買っておかなければ、すぐに予定の半分の支給分すら確保があやしくなっています。お願いします。」
そうなのだ、このレートの下落は、一番貧しい人たちの生活をまさしく奪って行くのだ。
今日(6月18日)の昼すぎには早くも1ドル=225ポンドになったと、ラタキアの友人がメッセージを送って来た。あたかも足下の砂をすくわれているようではないか。
戦闘のかげで、さらに不気味に、何かが崩れつつある。