2014-01-14

ハムドーからのアレッポ近況報告





アレッポの郊外の村に避難している甥っ子のハムドーは、今でもネットさえ使えれば、何がしかの状況を伝えて来てくれる。家のネットはほとんど使えないが、「ネットカフェ」に行けば、停電さえなければなんとか通信が可能だ。勿論、ネットカフェに行くのが、また命がけなのだが。



昨年暮れに、そのネットカフェからチャットを仕掛けて来た。



「今、僕の横にISISのメンバーのヨーロッパ人がいる。ドイツ人らしい。ヤヨイとチャットしているのを見られたらヤバいかも知れない。しかもヤヨイのFBの写真はスカーフがない。ヤバい。」

「イラクとシャームのイスラーム国」)



「今、村にいるISISはほとんどが外国人だ。え?シリア人以外のアラブ人?それは少ない。ヨーロッパ系がすごく多い。ああ、チェチェン人が一番かもしれないけど、それに限らない。ドイツ人とか、フランス人とか、そうそう、ロシア人もいる。この村にこんなに多くのヨーロッパ人が来た事ってなかったよな。妙な話だ。」



「知ってると思うけど、彼らはいわゆる解放区に来ては、それを制圧しようとする。近くにいる自由軍のある旅団の指導者も最近彼らに殺されたみたいだ。でも戦闘以外だと、結構、人助けなんかもするんだ。それはまだいい。だけど問題は・・・」



「彼らは、愚かで、とにかく狂信的なんだ。イスラームの決まりだと言って、いろんな人を拘束する。でも、その理由はほとんど言いがかりでしかない。例えば、さっきスカーフを被っていないヤヨイとチャットしたらヤバいって言っただろ。あれは冗談じゃないんだ。スカーフを被ってもいないような、そんな女性とチャットするのは彼らは罪とみなすんだ。そういうバカみたいな難癖をつける。だから村の人たちは彼らのことを、怒るというよりも、影ではバカにしてる。だけど、武器を持っているから逆らえない。何をされるかわからない。そういう意味ではすごく危険だ」



「言葉?片言のアラビア語を少し覚えていて、村の人ともたまに話してるよ。村の人も少しこんな妙な闖入者たちに慣れたといえば慣れた所もある。」



妙なことになっている。村人たちも、これらのまさしく外国人が、何をしたいのかよくわからない。ただ、彼らはこの村に陣取って、歯向かうものには銃をむける。彼らがいる所には空爆はこない、とハムドーは言う。そして、淡々と彼らの存在の奇妙さを語った。



一週間ほど前には、「村の状況は最悪。とにかく村では死体がそこら中に転がっている。異常な世界だ。危険な所にすんでいる親戚もまだいるから、僕のいるところに連れてこようと思うけど、道中が危なくてそれも出来ない。とにかく、祈っていて、それだけ」というメッセージが残っていた。



新年になっても樽型爆弾の投下は、断続的にアレッポとその周辺に続いている。



「祈っていて」というハムドーの言葉が、全てを物語っているかのようだ。