2012-08-23
ラマダン明けイード
ラマダンがあけ、イードが始まった。イードの挨拶を、チャットのメッセージに書き込んだ。相変わらず、誰もオンラインにいないが、いつか届くだろう。
そして、イード3日目の21日早朝、日本人女性ジャーナリストの山本美香さんがアレッポで亡くなったというニュースを知る。衝撃だった。そして同じ日、仕事の関係で見た、ヴィデオに映し出されるアレッポの街の様子に、さらに頭が真っ白になった。
イードである。いつものイードなら一張羅を着た人々が、親戚や友人の挨拶周りで、うろうろとしているはずの通りには、今年は誰もいない。臨時に街角に設置されるブランコはなく、ただただ銃声の響く街。お年玉を持って、駄菓子屋に走る子どもたちがいるはずもない。
この状況では当たり前なのだ。しかしわかっていても、悪い夢を見ているようだった。
判然とはしないが、おそらくジャミリーエ地区付近ではないかと思われる街かどには、土嚢が積まれ、銃を撃つ兵士が映し出される。また、他のシーンに登場する街角の映像にも、見慣れたパターンの家が見える。確かにアレッポである。だけど、そこは、なんと違った世界になっていることか。
21日深夜、夫の娘Oがオンラインに来た。他の二、三人も。急いでとりあえずOにメッセージを送った。今日は、携帯を通じてのFBならば通信できるという。これもいつ切れるかわからないが、とりあえず彼女はいた。長くは語れなかった。でも、とりあえず確認した。それでよしとするしかない。
そうこうしているときに、自由シリア軍のMSがメッセージをくれた。その中には山本さんの遺体をシリアからトルコへと移送するために尽力してくれた、自由シリア軍の士官の名前があった。また、山本さんへの深い哀悼の意を表するシリア人ジャーナリストたちのことも書かれていた。
彼らがどのようにこの件で働いてくれたか、どんな言葉を交わしながら動いてくれたか、想像がつくような気がする。あまりにも悲しい出来事ではあるが、MSの短いメッセージの中に、いかなる状況にあっても暖かいシリア人の心が読み取れた。
山本さんの冥福を心から祈るとともに、彼らにも、やはり深い特別な思いを送りたい。彼ら全てに祝福あれ。