2012-03-21

近くのショッピングモール


博物館から帰ると、Sさん宅は留守だった。どうしようと思ったが、娘の奈々子が、「近くのモールに行かない?」という。このモールは歩いて行ける範囲にあるので、以前はちょっとした買い物によく利用した。「でも、歩いて?大丈夫かなあ」「ま、二人だし、昼間だし、いいんじゃないの」と言うことで歩き出した。

Sさん宅のすぐ脇の道には、ちょっとした緑地があり、娘も含め、近所の子どもたちの遊び場であった。その頃の子どもたちのさんざめきを思い出しながら、モスクから降りてくる道を横切り、住宅街の中の道を抜け、洋品店の並ぶ道に出た。

しかし、店は軒並み閉まっている。午後から開くところもあるということであったが、もう2時を回っている。曇り空だったせいもあるが、なにか寒々としている。

モールに入ったが、客はまばらである。4階まであるので、まずは上から見てみようと、エスカレーターを上った。驚きだった。ここでも洋品店、化粧品店が軒並み閉まっている。店じまいをしてしまっているのだ。ここの洋品店は、以前トルコ製のものを扱っていた。制裁の影響なんだろうか。携帯関係の店だけがかろうじて開いている。

地下の食糧品コーナーに下りると、前と配置が変っており、品数がぐっと減っていた。ここでは客は私たちだけだった。なんだか来てはいけないところに来てしまったような気がした。このコーナーのカウンターには以前教え子が勤めていて、行くたびに、「先生、元気?」と笑顔で話しかけてくれた。今は、カウンターに誰もいない。

おなかが少しすいてたので、モールの1階にあるハンバーガーショップに行った。若者が数名と男女二人連れがいたが、照明も暗く、店自体の活気がないせいか、お客までが静かであった。

舞台装置はそのままで、異次元空間に入り込んだような錯覚にとらわれる。あるいは、浦島太郎?懐かしい海辺に帰ったら、誰も知る人がいなくなっていた・・・そんな感覚である。BGMが力なく鳴っている。

雨が降りそうな空模様になってきて、店内がさらに暗く感じられた。他のお客がシルエットのように見える。

頼んだハンバーガーが来た。以前と同じ、大きなハンバーガーである。だけど、のどを通らない。一緒に頼んだアイラーン(ヨーグルトドリンク)で、流し込むように食べるしかなかった。